10月に入り、寒暖差が激しくなってきましたね。
また、昨日まで半袖で丁度よかった気候が一転、翌日にはいきなり冬並みの気温まで下がって洋服選びにも困りました。
季節の変わり目は病気をしやすいとよく言われていますが、特に女性は気候や気圧の変化に敏感で体調を崩す人が多いかと思います。
倦怠感、情緒不安定、頭痛、めまい、肩こり、動悸、腰痛、腹痛、消化不良、食欲不振、肌荒れ、浮腫み、月経不順…など、人によって出る症状も数もしんどさも違うし、目に見えない不調なので相手に伝わりにくく辛い思いをした経験もあるかと思います。
また、これらの症状のせいで仕事にも影響を及ぼすことがありますね。
これらの原因として、女性ホルモンや自律神経が関わっていると言われています。
仕事をしていく上で、原因が分かっているのと分かっていないのとでは気持ちの持ちようが変わってくるかと思いますし、原因が分かれば予防対策にも繋がるかと思います。
また、是非男性の方にも女性の体のメカニズムを知っていただけたら幸いです。
では、今回は少し医学的なお話をお伝えしようと思います。
体の仕組みを理解する
女性はほぼ毎月のように月経という身体的イベントがあります。
その月経に関わるホルモンが、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)になります。
この2つのホルモンが絶妙にバランスを取っているおかげで定期的に月経が来るという仕組みです。
ホルモンバランスを整える
では、このホルモンの調整を行っているのはどこの臓器でしょうか。
女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンはどちらも卵巣から分泌されています。分泌の指示を行っているのが、脳にある下垂体です。
そして、その下垂体に“何”を“どれだけ”分泌する必要があるのかを伝達するのが、下垂体の上にくっついている視床下部という部位になります。
視床下部は、内分泌系や自律神経系をコントロールする役割を担っています。
女性ホルモンのみならず体中の様々なホルモンや、体温、水分量、血圧、空腹度、ストレスなどの変化を察知し、生命維持に必要な体の働きを総合的に調整しています。
体のコンディションを一定の状態に保とうとすることを「ホメオスタシス(恒常性)」と言います。
まるで、サプライチェーンマネジメントみたいですよね。
在庫が減ればサプライヤーに発注をかける、在庫が多ければ生産量を一旦減らすなど。それを無意識に行っているところがまた優秀で感心するところです。
体調不良を引き起こす原因
では、人間の体にはホメオスタシスという機能が働いているのに、なぜ体調不良が起こるのか。それは自律神経の乱れに原因があります。
自律神経が乱れる外的要因として多いのが
・睡眠不足
・栄養の偏り
・過度なストレス
・寒暖差
・頻繁な気圧の変化
上記のダメージを受けていると、視床下部は恒常性を保とうと頑張ります。しかし、この状態が続くと視床下部は疲弊しバランスが取れなくなって来て、ついに自律神経が乱れるのです。
自律神経が乱れやすい
なぜ女性の方が体調不良になりやすいのか。
先ほど記述した2種類の女性ホルモンにはそれぞれの役割があります。
エストロゲンは排卵を促すホルモンで、排卵した後はプロゲステロンが分泌され、子宮内膜を厚くするなど妊娠の準備をする役割があります。
しかし、卵子が着床しなかった場合は、プロゲステロンの分泌は減少し子宮内膜が剥がれ月経が来ます。
この女性ホルモンの激しい変動や、それに伴う体温の変化や体内の水分量の増減によって自律神経を酷使しやすいのです。
更に外的要因が加わることで、体調に表れるほど自律神経のバランスが崩れてしまうのです。
PMS(月経前症候群)もこれと似たようなメカニズムだという説があります。
視床下部が自分でホルモンを分泌するよう指示しておいて、その分泌物に振り回されてしまうのはちょっと滑稽な気もしますが。
自律神経の乱れを防ぐ方法
女性として生まれてきた以上、例外がない限り女性ホルモンの変化を止めることはできません。
では、できることと言えば、先述にも挙げた自律神経を乱す外的要因をできる限り取り除くことが大切だと思っています。
・睡眠をしっかり取る
・就寝時間と起床時間をなるべく統一させる
・太陽の光を浴びる
・食事を抜くなどの過度なダイエットをしない
・栄養バランスの良い食事を心がける
・残業をするなどの無理をしない
・過度なストレスを感じる職場から離れる(転職や部署異動など)
・一人の時間を作り静かに過ごす
・夏はしっかり汗をかいたりエアコンの温度を下げすぎない
・冬は暖房の温度を上げすぎない
など、日々の生活で気を付ければ、だいぶ変わってくるかと思います。
自律神経の乱れの治療
すでに自律神経のバランスが崩れてしまって辛い人は、病院で診てもらうことをお薦めします。
メンタルが不調な人は、心療内科や精神科に受診されることがあるかもしれません。
お医者さんにもよりますが、いきなり強い薬を処方する病院もあるようで、それで余計に悪化したという話を身近で聞いたことがあります。
是非一つの病院だけでなく、セカンドオピニオンを受けていただきたいです。
個人的な意見ですが、まずは副作用の少ない漢方を飲んでみることをお薦めします。
「加味逍遥散」、「当帰芍薬散」、「桂枝茯苓丸」などが女性に良いとされる漢方と言われています。また、低用量ピルを使用することで症状が緩和されることもあるようです。
是非お医者さんとよく相談して決めてみてください。