貿易の仕事には色んな資格がある。通関士の資格は人気だが、国際複合輸送士や、もう少し簡単に取れる貿易検定C級の資格などもある。
転職エージェントの仕事を始めてから、貿易の仕事が未経験で、資格を取ってから挑戦したいという層が一定数いることを知って驚いたことがある。
今回は貿易の未経験者の資格取得について、僕なりの考えを話していきたい。
人気の通関士資格
2022年の通関士資格試験が10月2日に実施され、合格発表が11月8日。最近では弊社の転職相談にも通関士資格の合格発表待ちという人から多くの問い合わせがある。
もう少し通関士の資格について話をしてみよう。通関士資格は貿易業界でも人気があり、かつ合格率は毎年15%前後とかなりの難関な国家資格だ。
通関士資格を取得することを目指す講座も多く、通関事業者以外にも、フォワーダーや貿易の未経験者が受講をしている。
通関士資格者は通関士ではない
ちなみに、通関士の資格を取ったからといって、通関士になる訳ではない。通関事業者に登録されて初めて通関士を名乗れるのだ。
通関士になりたかったら、通関会社に入社する必要がある。
MHJの貿易検定
貿易業界で他に人気のある資格に、マウンハーフジャパン(MHJ)が開催する貿易検定がある。貿易全般の知識が求められるこの資格ではC級、B級、A級がある。
C級はライトな感じで合格率は7割くらい。一方でA級はかなりマニアックな問題が出るので合格はかなり狭き門だ。
あるフォワーダーは貿易検定C級を若手に受けさせ貿易の知識を深めようとしているところもあるくらいだ。
未経験者の資格取得について
さっと人気資格について説明をしたのだが、ここからが本題。今回は貿易未経験者に理解して欲しいと思ってこの記事を書いている。
貿易の仕事を経験して16年以上経験し、かつフォワーダーの会社、貿易特化の人材紹介会社を経営している立場から、未経験者の資格についてお伝えしたいことがある。
資格に恋をしてはいけない
この記事の冒頭にも書いたが、多くの貿易業界の未経験者がとにかく資格を取得しようとする姿を見て僕は驚いている。
これは「資格さえ取れば転職に少しでも有利になる」という考えからくるのではないか。
残念ではあるが、資格を持っている未経験者より、未資格の経験者の方が選ばれる。
※通関士資格保有者を募集している会社は別。
大切なのは資格+アルファ
貿易の未経験者が貿易業界に入るために必要なのは資格ではない。ビジネスパーソンとしての大切なスキルと、それを使って別の業界で何かをやり遂げた実績だ。
スキルの例:
・コミュニケーション
・自己管理スキル
・チームで働くスキル
・納期や時間を守る
・上司に報連相をする など
これらを別の業界(前職など)でどのように活かして、実績を数字で上げたかを職務経歴書でアピールすることが求められる。
資格はこれをちょこっとサポートするくらいのものだと考えた方が良い。
何の仕事がしたいのか?
貿易の仕事と言っても実際は多岐に渡り、それぞれで担当する仕事内容は全く異なる。メーカーや商社の貿易部門は主に輸出入の業務管理で、顧客に提案などをする機会はない。
一方で主に中小企業だが、会社によっては海外調達部門が仕入れや物流を管理し、幅広く貿易に携わることも出来る。
そしてフォワーダーの営業やCS(カスタマーサービス)だと国際物流の提案、問題解決を顧客にサービスすることになる。
メーカ・商社・フォワーダー・通関業者の中で、購買・営業・業務・CS・通関士のそれぞれの仕事は違うということだ。
自己分析は出来ているか?
そもそも自分は何が好きで、何に影響され、将来どのようになりたくて、なぜ貿易の仕事をしたいのか、など自己分析は転職には欠かせない。
自分に軸をしっかりと持っていると、転職をするために必要とされる知識や経験をリサーチし、積極的に獲得する事ができる。
その時に資格が必要であれば資格を取得するのだが、通関士になること以外では資格が絶対視されることはない。
資格があなたを理想の転職に導いてくれるわけではないのだ。
まとめ
今回は貿易の未経験者に、貿易の仕事をするための正しいアプローチをお伝えした。何度もいうがそれは資格ではない。
自己分析をし、自分がしたい職種の仕事内容をリサーチし、自分にとって正しい転職先を決めることが大切だ。資格はその後である。
弊社の転職サービスでは自己分析や貿易業界の職種の両方をアドバイスしている。興味があれば是非問い合わせをして欲しい。