フォワーダーの転職でこれから重要なポジションがある。
先日、IT企業から「貿易・物流のDXをコンサル営業できる人材」が欲しいと依頼があった。
昨今では物流業界のDX化が大手企業やスタートアップ界隈で進んでいる。フォワーダーの実務経験者は今後このマーケットでの活躍が期待されているのだ。
今回はこれについて詳しく解説していきたい。
浸透しないデジタル化
これまで貿易・国際物流業界のデジタル化は中々浸透することが出来なかった。その理由は国をまたいで複数の業者が1つの商取引に関係をしているからだ。
海上輸送だとこのような感じ。
輸出側:輸出者 > 倉庫 > トラック > フォワーダー > 税関 > 港 > 船会社
輸入側:船会社 > 港 > フォワーダー > 税関 > トラック > 倉庫 > 輸入者
これまでの情報伝達・管理手段
これらの複数の事業者の間で情報を伝達しあうには紙が使われてきた。
各社もデジタル化を進めるにも、各社が使っているシステムが違う。また船会社の殆どは今の所はAPIで情報を繋げてくれない。
だから情報の伝達はメール、PDF、エクセルが主流でひどい場合はFAXも使われている。そして情報の保管は紙がまだまだ一般的だ。
しかし、これから数年の間に確実に繋がっていくと僕は確信している。
では繋げるためにはどうしたら良いか?
貿易のデジタル化を進める方法
それは荷主・フォワーダー・倉庫・トラックの各社がDX化を進めることである。
それぞれの業者の情報を繋げるには(シームレスにするには)、そもそも各社が情報をデジタル化する必要がある。
紙を使うなんて論外で、またエクセルやPDFでの情報管理も違う。情報が使えるデータになっていないといけない。
使えるデータとは?
PDFのデータは人が目視確認するために使われる。エクセルもフォーマットが違うのでエクセル内では使えるが、他社と連携することが出来ない。
情報がデータとして格納され、そのデータが各社で編集することなく使える必要がある。だから貿易プラットフォームのようなSaaSで共通のところでデータを一元管理しているのだ。
データを横に繋げる
今、大手やスタートアップでは自社が開発しているプラットフォームを使う流れになっている。自社の顧客や新規顧客を自社のプラットフォームを使って情報管理する。
しかし、このプラットフォームでのシェア獲得合戦はあと数年で終わると思う。
次は各社のデジタル化が進み、APIを使って各社のデータが横に繋がる時代が来るだろう。
貿易・物流DXのコンサル営業
先日 面談をさせて頂いたIT企業は、まずはフォワーダーや荷主の業務効率などを推進するためにDXのコンサルティング営業をしている。
ここで必要なのが、国際物流の知識だ。この企業ではITの知識は最初は不要で、興味があれば教えることが出来るとのこと。
コードが書ける必要はない
荷主のことや貿易の流れをよく理解していれば、貿易・物流DXの営業としては顧客のデジタル化の課題がイメージ出来るはずだ。
ITエンジニアと国際物流の知識は完全に異なる。
営業マンはITやプログラミングについて興味があり、おおまかな構造を理解していれば、細かい調整はエンジニアがやってくれる。
フォワーダーの営業がコードが書ける必要はない。
だから貿易・物流DXのソリューションを開発する会社は、フォワーダー経験者や荷主の貿易担当者の経験者が欲しいのだ。
フォワーダーの軸ずらし転職
これは僕が起業をしていなかったら自分で応募している案件だ。
貿易・物流人材でこのマーケットでの軸ずらし転職は、これからの時代に必要とされるポジションだと断言できる。この業界のDX化は相当遅れているのはご存じだろう。
これは僕の勝手な肌感覚だが、このマーケットのポジションはここ5年くらいでグッと伸びるような気がしている。
まとめ
このポジションの求人は今後、増えてくると思う。上述したように荷主やフォワーダーはそれぞれの会社の情報を使えるデータにしなければいけない。
どのような形でデータ化していくかは各社の抱える問題(というより予防の感覚)次第だが、この流れは進んでいくと思う。
国際輸送のマーケットは今後は船舶の供給量増加もあり、また船会社のIT化や世界の大手フォワーダーのM&Aも含めて、変革期である。この変革期や変革後にはフォワーダーであってもITの知識が求められると思う。
貿易・物流DXの世界に飛び込んでみるのも先を見据えた良いキャリア構築だ。