コロナ禍を通して国際物流の業界は大きく変革をし始めている。
2021年から高騰した運賃により船会社・航空会社は大きな収益を上げ、フォワーダーもそれに追随して過去最高の営業利益を叩き出している会社も多い。
またデジタル化も進んでいき大手各社は自社のプラットフォームを開発。そこにTrade WalzやCyberportなどがNACCSと連携。そしてBeyond theBookがTrade Walzと連携し中小企業にもその窓口を広げている。
詳しくはこちらの記事を見て欲しい。
不景気だったコロナ前とは大きく違うこの業界で、転職活動をするときに意識をすることはかなり変わってきていると思う。
今回はフォワーダーの転職に絞ってお話をしていきたい。現時点で僕達はフォワーダーに絞って求人案件を取っていて、企業や求職者のタイプで色々と感じるものがある。
前半は一般的なことについて、そして後半には時代に合わせた転職について話を展開している。
1. 業界に詳しい転職エージェントを選ぶ
いきなり自社の宣伝で申し訳ないのだが、僕たちは2022年9月に貿易業界に特化した人材紹介業をスタートさせた。
手前味噌なんだけど、僕らほど貿易や国際物流の仕事をしっかりと理解している転職エージェントは日本では少ないと思う。
リクルートやDudaの大手転職サイトで転職活動をしている人も多いだろう。しかし担当者がどれだけ国際物流の仕事について知っているだろうか?提案してくる求人案件はあなたにマッチしたものだろうか?
業界特化の転職エージェントの強み
僕たちの場合は、求人企業の仕事内容はほぼ100%理解している。
そして求職者としてのあなたがやってきた仕事内容はほとんど分かるし、仕事レベルも相対的に他の求職者と比較できるので求人企業にアピールしやすい。
面談ではこれまでになかった気づきや、僕らが提案できる最適な選択肢をご紹介することが出来る。 興味のある方はサイトの右上の赤いボタンから是非登録をして欲しい。
2. 自分の得意・強みがマッチするフォワーダーを選ぶ
さて、一般的な話に戻ろう。フォワーダーの仕事は多岐に渡る。国際輸送という貨物を世界中に届ける仕事なのでカテゴリーは以下のように様々だ。
【輸送形態】
海上輸送
航空輸送
鉄道輸送
【地域:積み地・向け地】
アメリカ
アジア
欧州
オセアニア
など
【取り扱い貨物】
一般貨物
冷蔵・冷凍貨物
食品、化学品、アパレル、スクラップなど
危険品
オーバーゲージ貨物
など
輸出 or 輸入
国際輸送の仕事ではこれらを掛け合わせることになる。
もしあなたが「北米向けの危険品、海上輸出」を得意としているのに、食品の輸入を専門としているフォワーダーや商社に入社をしてしまうと経験として溜めてきた強みが活かせない。
幅広くカバーしている方が強い
大手企業の場合は仕事の効率化を進めているので、担当部署で仕事が固定される傾向が強い。だから「B/Lの発行だけを10年やってきました」という人も少なくない。
そして大手なので給料も良い。
大手企業の落とし穴
そして転職をするときだが、B/Lしか発行できない給料の高い人材を他の企業が取りたいと思うかどうか想像してみて欲しい。
終身雇用が崩壊した現在、これは残酷だと個人的には思う。
現場を知っている営業の強さ
だからCSから営業に転向したという人は強い。
実務の内容と流れをしっかりと理解している状態でお客に接することが出来るので、イレギュラー対応にもスピーディだし、無駄がない。
専門性を持つなら商品カテゴリーと地域
かといってジェネラリストになるべきか?と言われるとそうではない。
僕個人としては、フォワーダーで働く人たちは、商品カテゴリーや向け地・積み地で専門性を磨いていった方が希少性が出ると思っている。
例えば、危険品を専門として世界中に海上・航空輸送してきた人は貴重だ。特殊な貨物ほど輸送が難しい。家具やプラスチック類などの一般貨物は、扱うのは簡単だし誰でも出来るし、危険品専門の人でも扱うことは問題ない。
これは普段の仕事から意識をして欲しいところだ。希少人材ほど転職でマッチした時の待遇アップはかなり大きい。
3. 貿易の仕事を数字で語る
そして転職する際の職務経歴書の書き方で注意をしたいことは、やってきたことを数字で語ることだ。
・TEU
・売上
・新規顧客獲得件数
・担当の既存客数
・B/L, D/Oの発行件数
・1ヶ月の通関件数
・1か月のJob件数
など
「B/LやD/Oを発行してきました。」では経験者であるというのは分かるが、魅力は伝わらない。
例えば通関士で「1人で月間150件の通関対応をしていた」というと、なかなかのスピードがあるなと思ってもらえる。
営業で「北米とヨーロッパ向けで月間150TEU、利益6,000万円。月間Job数は130件で担当のCSが4人います。」というとイケイケの営業マンというのがすぐに分かる。
これも転職する前の日々の活動において、常に数字を意識した仕事をして欲しい。
4. 看板だけで判断をしない
大手企業の案件は募集が集まりやすい。給料も一般的には良いし、何より「よく知られている」ので良いイメージがあるのだろう。
そういう意味では企業のブランディング戦略は成功しているケースは感じられる。
隠れた良い会社
しかし、貿易特化の転職エージェントとして色んな企業様とお話をしていると、あまり知られていないけど良い会社というのは本当に多いと実感する。
お給料、待遇、洗練されたオフィス、役員の若さ、会社の雰囲気、会社の勢いなどなど。なぜかHPにお金と時間を使っていないので良さが伝わっていないケースが良くあるのだ。
変化を好まない大企業
一方で昨今でJTCと揶揄される大手企業も少なくない。
変化を好まず、年功序列バリバリの会社。安定はしているのでそういうのが好きな人は良いが、大手だけが全てではないというのを知って欲しい。
5. 成長性を確認する
そして最後に企業の成長性についてをお話ししたい。冒頭でお話をしたように、キャリア(船会社・航空会社)に続いて、フォワーダーも大きな収益を得た。
しかし、一部のフォワーダーは収益を大きく落としている。
それは限られたスペースの取り合いに勝てなかった中小のフォワーダーである。大手や特定の地域に強いフォワーダーほどスペースが取りやすく、荷主からの依頼も集中した。
2分化されたフォワーダー業界
残酷ではあるが、コロナは伸びるフォワーダーとそうでないフォワーダーを2分化した。
今後数年でフォワーダー業界は強い会社に集約し、生き残れない会社は続出すると僕は思っている。自分が転職するかもしれない会社はどうか、コロナ禍の業績はどうか。
転職するときにエージェントに確認をすると良いだろう。
何に投資をしているか
ここが非常に重要だ。競争に勝ち大きな収益を上げたフォワーダーが何に投資をしているかを確認したい。大手フォワーダーだとM&Aをして規模を広げたり、他の国に倉庫を建てたりと大きな動きをしている。
中小フォワーダーではどうか?それこそデジタル化や人材に投資をしているかどうか。極端な内部留保に走っていないか。
フォワーダーは基本的にはアセットを持たない。だから設備投資などはないので分かりにく側面もあるのだが、これも転職エージェントに確認すると良いだろう。
まとめ
冒頭にお話ししたように僕らが転職エージェントとして活動をし始めて、まずはフォワーダーの業界で求人を多く扱っている。僕らフォワーダーを経験したからこそ見える視点があり、それをお伝えしてフォワーダーの転職をしたい人のお役に立ちたいと思った。
上記のコンテンツでは大企業に対して、ちょっと別の見方を提案している。それは大手志向の人が結構な割合でいると感じているからだ。もちろん大手企業は強いし、待遇も良い。でも看板だけで判断しないで欲しいと思っている。
今、業界は変革期にある。これは僕のYouTubeラジオでもよく話しているんだけど、この変革期に各企業がどう動いてくるか。
転職活動をするならここに強いアンテナを張ってベストな選択ができるように日々活動をして欲しいと思う。