貿易特化の転職エージェントとして活動しているなかで、沢山の求職者の履歴書をみたり、転職面談・キャリア相談することがある。
その中で実感するのは、キャリアプランを考えて転職活動している人はごく少数であることだ。
そういう僕もキャリアプランなんてほとんど考えずにここまでやってきた。本当に行き当たりばったりの人生なので借金でアルバイト生活をしたことも。
今回はキャリアプランがいかに大切か、転職エージェントとしての視点だけでなく、キャリアプランを立てなかったために大変な思いをした僕の視点からお話をしていきたい。
キャリアプランとは
簡単に言うと読んで字のごとくなんだけど、「あなたの仕事のキャリアをもっと計画的にしましょうね」ということだ。
どうなりたいか
ChatGPT先生も言っているように「将来自分がどうなりたいか」を明確にすることが大切だ。
このブログでも何度でもお伝えしているように、また動画セミナーでもお伝えしたように、あなたの価値観をベースにした自己分析が必要になる。
僕の転職・キャリア面談でも必ず聞く質問が、「あなたは、どうなりたいんですか?」である。これを言語化できていない人が本当に多い。
自分のやりたいことをその場ではっきり伝えることが出来ないということは、自分のやりたいことを考える時間をとっていないからだといえる。
上記のリンク先でしっかり説明しているのだが、やりたいことを価値観ベースにまで落とし込んで考えないと、本当に自分が心からやりたいと思えることが分からない。
「今流行っているから」「将来が安泰」だというなんとなくぼんやりした理由で仕事を決めるリスクがあることを理解しておくべきだ。
キャリアプラン設計の手順
価値観を明確にすることが出来たら、次にどういうステップでキャリアプランを作っていけば良いのか。以下を参考にして欲しい。
自己分析を行う:自分自身のスキル、強み、弱み、性格、価値観などを客観的に把握することが大切だ。自己分析を行うことで、自分自身がどのようなキャリアに向いているのかを把握することが出来る。
目標を明確にする:自己分析の結果を踏まえ、将来どのようなキャリアや職業に就きたいのかを明確にする。明確な目標を設定することで、具体的な方向性を定めることが出来る。
スキルアップの計画を立てる:目標を達成するために必要なスキルや知識、経験を洗い出し、そのための学習やトレーニング、実務経験の取得計画を立てる。スキルアップを計画することで、目標に向かってステップアップすることが出来る。
キャリアアップのための行動計画を立てる:具体的な目標とスキルアップ計画をもとに、キャリアアップのためにどのような行動を取るかを計画する。自分自身のスキルをアピールするためのポートフォリオ作成や、転職エージェントへの登録など、具体的な行動を計画することで、キャリアアップに向けて前進することが出来る。
定期的に見直しを行う:キャリアプランは常に変化するものだ。新しいスキルや知識を習得したり、環境が変わったりすることで、目標や計画が変わることもあるので、定期的にキャリアプランを見直し、現状に合わせた修正を加えることが大切だ。
これらのステップを踏むことで、自分自身が本当に望むキャリアを明確にし、それに向けて計画的に行動することが出来る。
キャリアプランなしのリスク
僕の肌感覚も含めてだが多くの人がキャリアプランなどを立てていないと感じる。だから転職活動にもストーリーがないので、書類選考で落とされたり面接で十分な結果を残せなかったりするケースがある。
転職活動においてエージェントや企業が見ているのは、スキルや経験だけではない。あなたがどんな人物で、どういう思考で現職や応募先の求人企業を選んだのかを注意深く見ている。
またそもそもキャリアプランがなければ、自分がどこに向かっていきたいのかが分からずに日々の職務を遂行することになる。しかしキャリアプランが明確であれば、次のステップとして必要なことを現職から意識して実行することが出来るのだ。
だんだん落ちていく
転職する理由の多くが現職の人間関係や仕事環境、そして収入である。これに対してその場から逃げるように転職活動すると次の職場は大体同じ環境になる。もしくは収入や労働環境は転職するたびに段々と落ちていく。
これは僕自身も経験している。新卒で中堅の化学専門商社に入社したのだが独立企業に失敗してアルバイト生活となった。そして次に派遣社員として働き、社員として働けたのはブラックな商社だった。
短い期間で転職を繰り返している人は、企業としてもすぐに辞められるリスクが払拭できない限りは、なかなか採用には至らないだろう。
君がもし面接官だった時に自分の履歴書を見て他の優秀な人材を差し置いて、採用したい、もしくは会って話を聞いてみたいと思ってもらえるストーリーを経ているか、改めて見直してみると良いだろう。
AIにとって変わられる仕事
冒頭にChatGPTを使ったのは、まだ昨今のAI技術について認識が出来ていない人のためである。今ではホワイトカラーの仕事の一部がAIに奪われるリスクがある。 それくらいAI技術は日々進化している。
そして貿易の一般作業の仕事もその対象である。簡単な書類作成、見積り作成、スケジュール確認など。これまで人が作ったり確認してきた業務だが、元データさえあればワンクリックで全て出来てしまう。
また貿易プラットフォームの浸透も業務効率化を進めている。これまでのinvoice、 packing list、 原産地証明などの書類の送付作業はメールを探す、メールを作成する手間が大きかった。
また見積もりもフォーマットを開いて、諸々の項目を入力して、メールをしていたが、プラットフォームがあればそこに数字を入力すれば完了できてしまう。
これまでの簡易的な仕事はAIやDX化によってどんどんなくなっていってしまう。
貿易業界のキャリアプラン
それでは貿易業界においてはどのようなキャリアプランを立てれば、一生安泰なのだろうか?一生安泰の回答をするのは難しいが、AIに簡単にとって替えられない人しかできない、コミュニケーション、関係構築、ネットワークなどに注力出来る仕事は大丈夫だと思う。
こうなると営業職や貿易の事務・実務でもお客とのコミュニケーションを頻繁にするポジションが残ることになる。黙々と書類を作成する仕事はAIに切り替わってしまう。
貿易業界で価値ある人材
AIをうまく使いこなせる人材であること。 DXについて一定以上の知識を持っていて、積極的に企業に提案出来る人材も価値がある。 貿易や国際物流業界でDX化は遅れている。古い産業であるために経営陣もITについて精通している人たちがいない。
時代の流れをしっかりと把握し、自分がどのポジションで戦っていくのかをしっかりと考えてキャリアを構築していこう。
まとめ
今回の内容は一部の人たちにとったら不快な内容だったかもしれない。しかし、事実として行き当たりばったりで転職は成功しないし、またITの技術でなくなっていく仕事についてしまうかもしれない。
テレビ業界が昔は大きな影響力をもっていたが、今となっては斜陽産業であるように時代の流れをしっかりと見ないと自分たちの仕事も無くなっていく。今の時代は本当に変化が大きく、何がメインストリームなのかが分からないがAIやDXは間違いなく主要産業になっていく。
貿易の仕事に従事している僕たちが生き残るには自分たちもITの知識を身につけて貿易の知識に掛け合わせるというのも、生き残る可能性が高い生存戦略だ。